センター紹介

センター長挨拶

センター長

九州大学 五感応用デバイス研究開発センター
センター長 松井 利郎

九州大学 高等研究院 都甲 潔特別主幹教授を旗手として平成25年11月1日に設置された「味覚・嗅覚センサ研究開発センター」は、本学を代表する先進的研究の一端を担い、基礎研究から社会実装まで行う世界唯一かつ国際的なイニシアティブの取れる研究拠点として役割を果たしてきました。発足当初は、「味覚センサ部門」、「嗅覚センサ部門」、「感覚生理学部門」の3部門で構成され、さらに世界、特に日本の少子高齢化社会における小児や高齢者のための安全・安心・快適な生活を目指し、尿などの体液による医療・健康管理に関する研究を強力に推し進めるための「応用医療センシング部門」を新たに加え、センター拡充を行いました。この4部門の有機的な連携により、がんの早期ならびに再発の診断に活用可能な新規バイオマーカーの発見に至ったことは、特筆すべき成果の一つといえます。

他方、ヒトは視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚に代表される「五感」を通じて外界の情報を収集し,周囲の環境を認知・分析、そして理解しています。すなわち、各感覚によるセンシングシステムから多数の情報を同時かつ独立に感知し、それら感覚情報を脳にて知覚・統合することで、多様な状況を認知しています。ヒトの受容する感覚とその応答機構はまさに究極のセンシングデバイスといえます。「味覚」と「嗅覚」は外的化合物を対象としてその量質を評価する化学センシングであり、「視覚」「聴覚」「触覚」は光、形状、温度、圧力、周波数といった「物理情報」センシングといえます。視覚や聴覚情報のセンシングは、記録・再現技術が成熟し、すでに時間・空間を超えて視覚・聴覚情報を伝達可能なデバイスが開発されています。今では、ヒトがこれら情報の取得、知覚過程を明らかにするための実験心理学的な研究段階に移行しつつあります。

このような背景に鑑み、味覚・嗅覚センサ研究開発センターが牽引してきた最先端の「味覚・嗅覚研究」と実験心理学、バーチャルリアリティ、知覚のコンピュータ・シミュレーション等を駆使した感覚に対する心理的応答性ならびに感覚統合機構の解明を可能とする「視聴覚研究」との融合を図った「五感応用デバイス研究開発センター」(平成30年11月1日)を新たに設置いたしました。本センターは、現代社会における重要解決課題である認知症、感覚障害者への代替感覚による欠損感覚補完、食・医療・エンターテイメント分野における臨場感伝達デバイスなどの社会実装のために、感覚間相互作用、欠損感覚の補完・代替、時間・空間を超えた五感情報通信技術などの新たな技術イノベーションの創出を目指しております。

さらに本センターには、システム情報科学研究院、農学研究院、医学研究院、歯学研究院、九州大学病院に加え、芸術工学研究院、基幹教育院および人間環境学研究院に所属する研究者が参画しており、文理を超えた広範な学術領域を網羅しております。すなわち、本センターは九州大学が世界をリードする味覚・嗅覚センシング技術を基盤とし,各感覚を専門とする研究者の有機的な連携による学際的・学融合的な世界に類のない五感融合によるシナジー研究の拠点になると確信しております。国内外の皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。