センター紹介

センター長挨拶

センター長

九州大学味覚・嗅覚センサ研究開発センター
センター長 都甲 潔

1989年,九州大学から「味を測る」という概念,ならびに「味を測る機器=味覚センサ(taste sensor)」が提唱されました.この味覚センサは,自己組織化能を利用した世界初,日本発の生体模倣タイプの最先端科学技術でした.その後,味覚センサに関係した科学技術は着実に発展し,センサ自体も進化・成長し,それを支えるビジネスも本格化し,(株)インテリジェントセンサーテクノロジーと(株)味香り戦略研究所という,ベンチャーが設立されるに至っています.現在,この製品化された味覚センサ(SA402B,TS-5000Z)は世界各国で利活用され,また味データベースも広く提供されています.世界では,この味覚センサに倣い,electronic tongueという言葉が生まれ,研究開発がなされ市販品も登場しています.

また嗅覚センサ(匂いセンサ)も日本では30年近く前から活発に研究開発がなされています.ここ九州大学ではイヌの鼻を超える超高感度匂いセンサが開発され,幾つかの省庁と共同研究を遂行しており,今後本格的な実用化に向け,研究開発を行っています.また空間における匂い物質を目で見る,いわゆる可視化研究も最近活発化し今後の発展が期待されております.

さらに九州大学は感覚生理学の分野でも世界を先導しています.1980年代の甘味受容に関わる遺伝子の発見を皮切りに,受容体分子とその機能など世界に先駆けて明らかにしており,現在「味受容体」領域の被引用論文数では世界第1位にランクされています.また,遺伝子・分子から脳の活動測定に至る幅広いオリジナル技術の開発を元に,口腔と脳・腸で連関するシグナル調節系が感覚のみならず食欲や栄養吸収の制御にも関与することを明らかにするなど,生活習慣病を標的としたテーラーメイド予防医療への展開に向け研究が急ピッチで進んでいます.さらに,このような基礎的知見をセンサ開発に活かすべく研究開発を進めています.

味覚・嗅覚センサ研究開発センターは,このような背景のもと,平成25年11月1日付け設置されました。「味覚センサ部門」、「嗅覚センサ部門」、「感覚生理学部門」という3つの部門で構成し、活動を行ってきましたが、その活動・推進体制の更なる強化を図るため、新たに平成26年7月1日付けで当センターを拡充しました。世界、特に日本の少子高齢化社会にあっては、小児や高齢者が日々の生活を安全・安心・快適に送れる最適の医療を実現する必要があります。そのために、今回、尿や口臭、体臭検知で行う医療・健康管理に関する研究を強力に推し進めることを目的とした「応用医療センシング部門」を新設したものです。本部門は、生物の嗅覚を利用し、匂いと受容体の対応関係を解明することで、癌などの疾病を早期に発見するセンサの開発ならびに基礎診断技術開発と臨床評価を行います。

当センターは,上記4つの専門領域(味覚センサ,嗅覚センサ,感覚生理学,応用医療センシング)から構成され基礎から応用,社会実装までを一貫して行う,世界で有数の研究開発拠点です.今後,21世紀社会を安全・安心・快適で感性豊かな社会にすべく,日々の健康に資する医療・健康科学の創出,ならびに安全・安心・快適を実現する新規有機・バイオデバイスの創製を目指します.国内外の皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます.