今井 猛教授(感覚生理・医療応用センシング部門)の研究成果が報道されました[7/1]

大学院医学研究院の今井 猛教授(五感応用デバイス研究開発センター 感覚生理・医療応用センシング部門)の研究グループが,複数の匂いを嗅ぐ際に嗅神経細胞で生じる多様な調節作用(抑制性応答、拮抗作用、相乗効果)の仕組みを明らかにしました。

従来、匂い分子は「活性化」された嗅覚受容体の組み合わせによって認識されると考えられてきました。また、匂いの混合物は、活性化パターンの「足し算」として認識されると考えられてきました。本研究においてこの定説を検証するため、生きたマウスの嗅神経細胞の応答を計測した結果、匂い応答には単純な「活性化」や「足し算」以上の複雑な機構が存在することが明らかになりました。まず、匂い分子は、ある嗅覚受容体を活性化させるだけでなく、しばしば別の嗅覚受容体を抑制することが判明しました。更に、複数種類の匂いを混ぜて嗅がせると、応答が個々の匂い応答の足し算となるとは限らず、拮抗作用によって反応が抑制されたり、相乗効果によって反応が増強されたりすることが明らかになりました。

本研究によって明らかになった匂いの拮抗作用や相乗効果は、複数種類の匂いを混ぜたときに感じられる匂いのハーモニーの基盤になっているものと考えられ、これまでの定説を覆すものです。本成果は今後、香料の開発などにも貢献することが期待されます。

本成果は、令和2年6月30日(火)(米国時間)に米国のオンライン科学雑誌『Cell Reports』に掲載されました。

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